マスカレードに誘われて
――逃げなきゃ。
直感的にそう思った。
アレは、この世の物じゃない。
ロイは走り出した。
少し遅れて、イヴもついてくる。
「イヴ!早く!」
「ダメ……辛いよ……」
息も切れ切れに、イヴが答える。
ロイはもどかしく思いながら、イヴの手を引いた。
「何か安全な場所ってある!?」
「と……図書室……」
イヴは咄嗟に思い付いた部屋を口にした。
あそこなら、本棚と言う障害物があるので、追い掛けられても撒くことができるだろう。
ロイは一つ頷くと、彼女の手を握り直した。
長い廊下を駆ける、悪魔の子ら。
ハロウィンの悪夢は、まだ始まったばかりである。