マスカレードに誘われて
第二章 遊ぶ霊
現状の把握
死に物狂いで図書室へ逃げ込む。
扉を勢いよく閉め、二人はその場に崩れ落ちた。
息が荒い。
より多くの空気を吸い込もうと、肩が大きく上がる。
「何だ……今の……」
ロイがポツリと呟く。
イヴは呼吸をする事に手一杯で、彼の問いに返答することはなかった。
追い掛けてきた無数の"影"。
漆黒のマントを羽織ったような、そんな"人影"。
一瞬しか見ていないのに、その姿は二人の脳裏にしっかりと焼き付いている。
「……」
二人の前を、幾つかの本が横切った。
本棚に陳列されていた本は、本棚を離れてそこら辺を浮かんでいる。
「悪夢だ……」
絶望的な声を上げ、ロイが立ち上がった。
そして、その場に浮かんでいる本を一つ手にとった。