マスカレードに誘われて
本をぱらぱらと捲る。
挿絵の女の子が動いており、ロイに向かって手を伸ばしてきた。
パタリと本を閉じる。
彼は本を手放した。
「一体、どうなってるんだよ!!」
ロイの悲痛な叫びが、図書室に響き渡る。
イヴは彼に近寄り、その肩に手を置いた。
「あまり大声を出さない方がいいわ。気付かれちゃう」
「……分かった」
イヴに言われ、ようやく冷静になった。
それでも、やはり嫌な感じは払拭されない。
「それにしても……これからどうするべきなのかな?」
「分からないわ」
イヴも途方に暮れたような顔をする。
彼女は小さく息を吐き、話し出した。
「ただ、この現状を説明することはできる」