マスカレードに誘われて

淡い希望にすぎない。
それでも、それにすがることしかできない。

18年間、逃げていたことが災いした。
もう少し、自分の事を知るべきだったと思う。

「そうね……第一、成人になるまで皆さん生きたことが無いらしいから、どうなるかは分からないけど。
それに、朝まで持ちこたえたと言う例も無かったみたい」

「……全部僕たちが初めてって訳か」

ロイは溜め息をついた。
何故だか、実験台にされているようでたまらなかった。

しかし、戸惑ってばかりではいけない。
何も襲ってこないとはいえ、ここが安全だとは限らない。

「取り敢えず、一旦ホールに戻ろうか。この事をグランド公にも伝えないといけないしね」

「そうね……」

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