マスカレードに誘われて
逃走と闘争
廊下を曲がり、中央玄関ホールに出てきた。
中央にある大階段を上がろうとしたところ、上から金属を擦るような音が聞こえてきた。
「何?この音?」
イヴが不安げに首をかしげる。
ロイは自分の唇に人差し指を当て、静かにするよう示す。
金属音と共に、鎧が歩くような音も聞こえてくる。
今の状態ではホールに戻れそうにない。
「もっと迂回して、ホールに戻る方法は無いのかな?」
「うーん……どうだろう……」
彼女に問われ、ロイは頭を押さえる。
屋敷に来たときに、ある程度の部屋は見て回った。
しかし、その部屋を一つ一つ覚えているかと言われると、微妙である。