マスカレードに誘われて
「急にどうしたの?」
「いやぁ……だって、イヴにばっかり先頭を行かせるわけにはいかないし」
「そんなこと、わたしは気にしないわ」
「君が気にしなくても、僕が気にする」
ロイは振り返り、照れ臭そうに笑った。
「それに……やっぱり、女の子は守ってあげないと」
「ロイ……」
イヴが驚いたように名前を口にする。
彼は前を向き、しっかりと言った。
「何があっても、イヴの事は僕が守る」
覚悟にもとれるような言葉。
イヴに言い聞かせると同時に、自分にも言い聞かせていた。
少し恥ずかしくなり、彼は歩き始めた。
突然の事に呆然とするイヴ。
少し経って、ロイの言葉を理解する。
彼女は頬を赤く染め、
「……ありがとう」
その紫のマントに向かって、嬉しそうに微笑んだ。