マスカレードに誘われて
*
「悪魔の子、ですか」
曲を弾き終え、ヴァイオリンを下ろしたルーベルトは言った。
「何故、そのようになったのか……私には理解できません」
「どういうこと?」
ルーベルトの言葉を受け、ロイが尋ねる。
ルーベルトは心底残念そうな顔で首を振った。
「人間の考えることは、どうも分かりません。どうして聖なる御子が、悪魔の子と呼ばれなくてはいけないのでしょうか」
「僕に聞かれても分からないよ。生まれたときから、そう言われてたから」
「そうですか……」
気を落としたように、丘へ座り込む。
ロイは、何だか彼を傷つけたような気がしてたまらなかった。