マスカレードに誘われて
慌てて弁明しようとする彼を、ルーベルトが制す。
「今夜だけ、なんですよ」
「今夜だけ?」
おうむ返しに訊くと、彼は何度も頷いた。
「私達が自由に動けるのは、ハロウィンである今夜だけ。悪魔の子がいるからこそ、私達は楽しめるのです」
「そうなんだ……」
イヴがしみじみと頷く。
彼女は目を伏せ、悲しそうに俯いた。
「それなのに、人間は私達が楽しむ権利さえ奪おうと言うのですか!!」
「……」
ルーベルトの声が、廊下に響き渡る。
その途端、鎧が歩いてくるような音が聞こえてきた。
「ルーベルト、ごめん。僕たち、もう行かなくちゃ……」