マスカレードに誘われて

慌てて弁明しようとする彼を、ルーベルトが制す。

「今夜だけ、なんですよ」

「今夜だけ?」

おうむ返しに訊くと、彼は何度も頷いた。

「私達が自由に動けるのは、ハロウィンである今夜だけ。悪魔の子がいるからこそ、私達は楽しめるのです」

「そうなんだ……」

イヴがしみじみと頷く。
彼女は目を伏せ、悲しそうに俯いた。

「それなのに、人間は私達が楽しむ権利さえ奪おうと言うのですか!!」

「……」

ルーベルトの声が、廊下に響き渡る。
その途端、鎧が歩いてくるような音が聞こえてきた。

「ルーベルト、ごめん。僕たち、もう行かなくちゃ……」

< 61 / 164 >

この作品をシェア

pagetop