マスカレードに誘われて
やがて、彼女の耳に心地よい低音が響いてきた。
『……かの者の言葉を聞いた、お主の言葉ならしょうがない。もう十分だ』
「ありがとう。だけど、かの者って誰のこと?」
イヴが聞いた、少女の声。
それがかの者だとするならば、彼女は一体どのような存在なのだろうか。
『かの者は、私達の仲間を増やし、夢を叶えてくれる。それが例え、多大な犠牲を払おうとも』
「……」
『かく言う私も、昔は悪魔の子として人間に生まれてきた。そして、堕とされたのだ』
「……!」
淡々と言葉を発していた鎧だったが、初めて声が揺れた。
それはイヴの前で跪いた。