マスカレードに誘われて

やがて、彼女の耳に心地よい低音が響いてきた。

『……かの者の言葉を聞いた、お主の言葉ならしょうがない。もう十分だ』

「ありがとう。だけど、かの者って誰のこと?」

イヴが聞いた、少女の声。
それがかの者だとするならば、彼女は一体どのような存在なのだろうか。

『かの者は、私達の仲間を増やし、夢を叶えてくれる。それが例え、多大な犠牲を払おうとも』

「……」

『かく言う私も、昔は悪魔の子として人間に生まれてきた。そして、堕とされたのだ』

「……!」

淡々と言葉を発していた鎧だったが、初めて声が揺れた。

それはイヴの前で跪いた。

< 78 / 164 >

この作品をシェア

pagetop