マスカレードに誘われて

『お主だけは、生き延びてほしい。生きている人間で、かの者の声を聞いたのはお主が初めてだ。
言葉を……私達やかの者の言葉を、皆に伝えてほしい』

イヴは力強く頷いた。
もう、この悪夢が怖いとは思わなくなっていた。

『それと、"影"には気を付けた方がいい。あれは、彼女の闇の部分。生きている者を、こちら側に引きずり込もうとする』

「分かったわ。ありがとう」

イヴは顔をあげた。
ロイが不思議そうな顔でこちらを見ている。

跪いていた鎧は立ち上がり、その他の鎧は一斉に剣を下ろした。

「何が起きたの?」

辺りを警戒しながら、ロイが尋ねる。
イヴは優しく微笑んだ。

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