マスカレードに誘われて

「彼等の願いを託されたの。グランド公に伝えなくては」

「そっか」

「あの"影"さえ気を付ければ、危険は無いらしいわ」

「そっか。ありがとう」

確かに、もう鎧に戦う意思は見当たらない。
あまり信じられない話だが、今はイヴを信じるしかない。

ロイは肩の力を抜いた。

「じゃあ、これはもうホールに行っていいってことなのかな?」

彼が近くの鎧に尋ねる。
それはロイの方を向いて、首を縦に動かした。

「言葉通じた……」

ロイは目を丸くするばかり。

空気が僅かに和やかになる。
その時、二人の背中に悪寒が走った。

二人は顔を見合わせた。

「何か嫌な予感……」

「わたしも……」

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