マスカレードに誘われて
「大丈夫だよ。あんなもの、蹴散らせておけば問題ない」
「もう!ロイったら!」
軽口を叩くロイを、イヴがたしなめる。
彼は軽く笑い、キースの隣についた。
「大丈夫ですか?」
「僕は全然大丈夫!キースは?」
「私も問題ありません。ただ……」
キースの目が鋭くなる。
彼は前を見据え、重々しく口を開いた。
「前からも、影らしき物が来ているんですよねぇ……」
キースの言葉を受け、ロイを前を凝視した。
遠くの方から"影"らしき黒い物が、壁や天井を覆いながらこちらへ向かってくる。
前からも、後ろからも迫ってくる魔の手。
逃げ場がない。