マスカレードに誘われて
消失と喪失
部屋の中は薄暗かった。
埃っぽい部屋。
机の上にぽつりと置かれた燭台。
こんな部屋に、誰が火を灯したのか分からない蝋燭が揺らめく。
大きめの窓からは、紫色の雲が見える。
ここは、何かの資料室らしい。
埃を被った本や絵画が、大量に置かれていた。
もっとも、今は浮いていると言った表現が正しいが。
部屋の奥まで後退り、壁にもたれ掛かる。
ロイは、そのままずるずるとしゃがみこんだ。
「はぁ……」
口から出るのは溜め息ばかり。
イヴもドレスが汚れるのを気にせず、その場に座り込んだ。
キースは依然として、扉を見つめたままだ。