マスカレードに誘われて
徐々にキースを追い詰めていく。
彼はロイから目を逸らした。
「ロイ、そのくらいにしておきなよ」
今まで静かだったイヴが立ち上がり、ロイを止める。
彼女はロイに近寄ると、その肩を掴んだ。
「キース、辛そうよ?」
そう言って、彼女はキースの手を指差す。
二人分の剣を握りしめている彼の手は、微かに震えていた。
「でも、やっぱり……イヴは知りたくないの?」
「わたしは知ってるから」
「えっ?」
ロイが目を丸くする。
イヴは構わず話を続けた。
「あの回廊を通れない理由も、どうして幽霊達が追い掛けてくるのかも、わたしは分かったから」
「……」
「それに……どうしてわざわざ、ロイイヴの名前を名乗ることを許されたのかも分かったわ」