マスカレードに誘われて
*
「――様、ロイ様」
誰かが呼び掛ける声がする。
ロイはゆっくりと目を開けた。
薄暗い天井が目に入る。
顔を横に向けると、キースとおぼしき足がぼんやりと見える。
何回か瞬きをすると、ようやく焦点が合ってきた。
「あれ、何があったんだっけ……?」
身体を起こし、首をかしげる。
彼の後頭部に鈍痛が残っている。
ロイは頭を押さえた。
「あぁ、殴られたんだ……」
明かりが消え、足音が聞こえてきた。
そして、殴られて気絶した。
「ロイ様……」
何やら、キースも青い顔でロイを見下ろしている。
手に持っている燭台の炎が揺らめく。