マスカレードに誘われて
ただ首を振ることしかできない。
ロイは訝しげに彼を見た。
「ねぇ、キース」
「何でしょうか?」
「君は今宵の件について、どこまで知っているの?」
「私、ですか……?」
「うん、そう。包み隠さず教えてほしい」
「……」
キースはしばらく、ロイを真剣な目で見つめた。
そして、小さく溜め息をついた。
「……分かりました。私が聞いたこと、全てをお教え致します」
「うん、よろしく!」
「その前に一つ提案が」
「何?」
「ここで話していても、時間の無駄です。イヴ様を探しながらご説明しましょう」
そう言って、キースは部屋の扉を開けた。
扉の先に、ロイ達を襲ってきた影はなく、見慣れた赤い絨毯がそこにあった。
「影は無くなったようです。行ってみましょう」
「それもそうだね。キース、僕の剣ちょうだい」
「かしこまりました」
キースから剣を受け取り、彼等は廊下へと歩み出た。