マスカレードに誘われて
彼は扉を閉め、歩き始めた。
「私が知っていることは、本当にこれだけです」
「うーん……そっかぁ……」
相槌を打つも、まだ何となく腑に落ちない。
彼はまだ何か隠している気がする。
「本当にそれだけ?」
「えぇ。ロイ様に関係することは、これくらいでございます」
「そっかぁ……」
無言の時間が続く。
何か訊こうと思ったが、何を訊いたらいいのか分からなかった。
その間も、扉を開けては確認を繰り返す。
しかし、イヴはいない。
「一つ疑問があるのですが……」
静かにキースが言葉を発する。
ロイは黙り込み、耳を傾けた。