†侵愛†~そっと貴方の毒牙にかけて~
踵(きびす)を返しドアに手を掛ける。
「いいのですよ。紫乃さま、私はこれで失礼します。また、参りますので。」
「…ありがとうございました。お気をつけて。」
軽く頭を下げると男は、病室を出て行った。
「あれ、誰だ?」
椅子に座りながら声を掛ける。
「…お父さんの会社の新しい社長さんの秘書さんよ。」
長く話していた所為か身体が凄く疲れていた。
「それで、紫乃をどうしてくれるか聞いたのか?」
「まだ…話せないみたい。」