†侵愛†~そっと貴方の毒牙にかけて~
  

「はい。お互いの両親が決めた婚約です。市村家は、一番の取引先ですから……。」


 滝沢の答えにあからさまにイヤな顔をした。


「どうなさいますか、翔さま。」


 主の答えを待つ。


「財政状況を確認しろ。俺は、院長と話しをして来る。」


「行ってらっしゃいませ。」


「紫乃、ゆっくり休め。」


 優しく額にキスを送り病室を出て行く。
 滝沢は、怒れる主人を見送る。


「よくも、俺のモノに気安く手を出してくれたものだ。」


 怒りを抑えつつ廊下で呟く。

  
< 36 / 98 >

この作品をシェア

pagetop