†侵愛†~そっと貴方の毒牙にかけて~
  

 見慣れた光景ではあった。


「あの…」


「なんだ?俺と来ないならあの盛ったガキ(オス)の所に置くぞ!いいのか?」


 ほぼ、恫喝だった。 身体が震える。


「翔さま!」


 滝沢が窘(たしな)めるよう呼ぶと顔を子どものようにそらし自分は、さっさと車に乗り込む。


「少し、失礼致します。」


「きゃっ!!」


 軽々と抱き上げられて驚く。滝沢は、静かに主の横に座らせた。


「紫乃さま、疲れたら遠慮なく隣に凭(もた)れて構いませんからね。」


  
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