†侵愛†~そっと貴方の毒牙にかけて~
第1話 淋しい世界
「もう、誰も居ないと言うの?」
「残念だけど…それが現実だよ……。」
―・―・―・―・―・―・―
最後の記憶は、血の赤と鋭い痛み。そして…男の電話の音。
「大久保さ~ん検温で~す、って…聞こえてないわよね。失礼します。」
仕切りのカーテンを開けて中に入る。
柔らかい声にゆっくりと反応する。
「…看護師さん。……両親もこの病院に…居ますか?」
「えっ!大久保さんっ、起きて…」
看護師は、驚きの声を上げて走って病室を出で行った。