†侵愛†~そっと貴方の毒牙にかけて~
  

 紫乃の髪を優しく撫でて部屋を出て行った。

 》 

 窓から雨音が響いていた。痛む頭と身体が現実に自分を戻す。


「っ、(気持ちワルい)」


 起き上がろうとして異変に気が付いた。


「なっ、何!」


 ドクドクと心臓が耳を凌駕する。


「あぁ、こんばんは…」


「Σっ、誰!」


 凄く近くで声がするのに姿が見えない。


「手首は、縛らせてもらったよ。あと…目隠しも。」


「イヤッ!
(気持ちワルい…)」


 囁かれ不意に頬を舐められた。


  
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