結婚してください。パンツ見せてください。
彼女と蓮華とツンデレと。side蓮華
【side 蓮華】
部活の時間。俺にとっては、日本に来て初めてのサッカーだ。
休憩時間、外にある水道で顔を洗っていた。
今俺はすごく不機嫌だ。
かつてライバルであった男、東藤悠吾の近くにいた女。名前は昴と言っていたな。
常に無表情で言葉はすべて棒読み。そしてかなりな毒舌と変態な性格。唯一見た目だけはキレイだ。
俺は昴が大嫌いだ。
初対面にも関わらず失礼な態度、暴言。
「むかつく」
愚痴っていた、その時。
「どいていただけますか」
聞き覚えのある声が後ろからし、驚いて振り返った。そこには予想通り、昴がいた。
無表情なのだが、どこか嫌そうな雰囲気を醸し(カモし)出している。
「皆様が使う場所をいつまでお使いになっているんですか。汗が出るんですか、更年期ですか」
「更年期じゃねえよ!俺はいったい何歳なんだ!」
抑えていた苛立ちが爆発し、持っていたタオルを地面に叩きつける。
つい本気で怒りそうになったが、とりあえず深呼吸した。
冷静になれ、蓮華。落ち着くんだ。
「……昴ちゃんだっけ?ごめんね、慣れない環境だから怒りっぽくなってたよ。これからは仲良くしよう」
爽やかな笑顔で言う。
いや、本当は無理しているんだ。
だが肝心の昴は、叩きつけたタオルを拾い上げた。
「皆さんが使うタオルを汚さないでいただけますか。誰が洗うと思ってるんです?これだからハゲは……。あと私の名前を軽々しく呼ばないでください。不愉快です」
「……」
やばい、泣きそう。
必死に涙をこらえる。本当なら本気で泣いてもいいくらい、心は傷ついていた。
それでも頑張って昴に立ち向かった。
「お、お前さ!パンツ好きなんだろ?練習中東藤クンに言ってたじゃん」
「それが何か」
「俺はどっちかって言うとお前のパンツの方が見たいなー」
「嫌です」
困らせたくて言ったが、即座に断られてしまった。
もうヤケクソだ。
「見せないとココ通してやんないからな!絶対通してやんないから!」
昴の行く手を阻み(ハバみ)、パニックに叫び散らした。
自分でも恥ずかしいが、もはやどうでもいい。何がなんでも困らせてやる。
昴は呆れたようにため息を吐く。
「わかりました」