結婚してください。パンツ見せてください。
彼女は宣戦布告をされたようです。side蓮華
【side 蓮華】
あの時の東藤クンとの喧嘩は保健室事件と呼ばれているらしい。
それから肝心の東藤クンと言えば。
「ウンババウンババウンババウンババ……」
「悠吾ー、しっかりしろー!」
何やら怪しい(あやしい)呪文的なものを唱えながら机に項垂れている。正直怖くてしかたない。
加藤が頑張って面倒見てるが、多分治らないんじゃないかな。
昴が原因だろうから。その昴は素直に東藤クンの言うことを聞き、東藤クンから離れているしね。
まぁ、俺はそんな昴ちゃんを狙っているわけだが。
まさに今、昴ちゃんの目の前にいる。
「よ、昴」
「よけてください」
何してるかって?
廊下で昴ちゃんの前に立ってる。
「今日はタオルくれねぇの?」
「よけてください」
「お弁当一緒に食おうぜ」
「よけてください」
「好き」
「……」
可愛いことに、好きって言えば黙ってくれる。困ってるんだろうな。
今までさんざん東藤のやつに告白をスルーされてきたから、辛いってことがわかってるんだろう。だから無視できない。
「意外にピュアだね、昴ちゃん」
「……」
からかうような言葉を言うと、怒った。
最近昴の感情がわかるようになってきた。
「怒ったー、その顔もかーわいー」
面白がっていると、突然。
げしっ、と。
蹴られた。
「よけろよけろよけろよけろよけろよけろよけろよけろよけろよけろよけろよけろよけろよけろよけろよけろよけろよけろよけろよけろよけろよけろよけろよけろよけろよけろよけろよけろよけろ」
そう唱えながらゲシゲシと蹴り続ける。
やばい、怖い。
「よけろよけろよけろよけろシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネ」
「ちょっと待て、途中からシネに変わってんぞ!カタカナだから余計に怖いわ!てかやめて、蹴り続けないで」
「じゃあよけてください」
こいつ……、本当に自分の欲望に素直だよな。
俺は呆れたようなため息をつき、ちょっと真面目に言う。
「あのさ、一応好きってのはマジだから。ちょっと話ししてくんない?」
昴はムッと黙り込み、しばらくして小さな声で答える。
「……少し、だけですよ」