結婚してください。パンツ見せてください。
「それ以上言ったら許さねぇ」
久々にこいつに怒った気がする。
だけど、仕方ねぇだろ。
「俺の本気で惚れた女を、悪く言うな」
あ、やばい。自分でも言ってて恥ずかしくなってきた。
しかしここで負けるわけにはいかないので、俺は昴を睨み続けた。
だけど昴は。
「……許さねぇ、とは。何をするんですか」
……え?
「な、何って……その」
「詳しく説明してください。この体勢で、どのように許さないのですか。何をする気ですか」
「や、あの、別にそういう意味じゃ」
「それではなぜ押し倒したのですか? 押し倒す意味はあったのですか? それは発情したからなのでは?」
「は、発……」
昴の質問攻撃に俺はただタジタジするだけ。
そしてとどめの言葉。
「何もないならどいてください」
「……すいません」
あれ、おかしいな。
さっきまで、シリアスな雰囲気だったよね。
なにこれ、何で怒られてんの俺。
昴は立ち上がり、ぽんぽんと制服についた砂ぼこりを払いながら言った。
「それと、先程の『俺の本気で惚れた~』とか何とか。二度とあんな恥ずかしい言葉吐かないでください。何かじんましん出てきました。ほら」
「人が頑張ったのを恥ずかしいとかやめてくれる!? たしかに恥ずかしいけど! それとマジでじんましん出すな!! どんだけ嫌なんだよ!」
「顔近いです、唾液とびました。息しないでください」
「死ねってか、死ねって言ってんのか!ツバ飛んだだけなのに、そこまでの仕打ちを受けなきゃいけないのか!」
「あ、授業始まってる」
「ちょ、無視とか」
それから暫く(しばらく)の間、言い争いが続いた。
あー、なんだかな。
懐かしいな、こういうの。
そういえば、最近は保健室でのこともあったからこういう絡みもなくなっていたし。
何より、昴の元気がなかったから。
少しだけでも昴の元気が戻ったみたいでよかった。