結婚してください。パンツ見せてください。


前のような明るい空気になったところで、俺はすかさず本題を持ち出した。




「ところでさ、俺に乗り換える気はない?」


「!」



不意に出た話題に、昴は驚いたようだ。

だけどすぐに無表情に戻り、俺を睨んだ。



「のり、かえる?」

「そ。だって、今は東藤とケンカしてんだろ?」

「ケンカではありません。お互い複雑な気持で心が離れているので、距離を置いているだけです」


「ケンカじゃん」

「違います、このバカハゲ」

「ハゲてねぇ」




やっぱりなかなか落とせないな。





「俺の方がお前のこと愛せるよ? 抱きしめるしキスもする。お前がしてほしいことなら、できるだけ叶えるし」



だから付き合って?

そう付け足す。




すると昴はぐっ、と言葉を詰まらせた。


一瞬、迷った?と思ったが。違うみたいだ。


昴は俺か東藤かで迷ってるんじゃない。


俺に困っているんだ。




何度も何度も告白して。好きだと、愛していると伝えて。

それに答えてすらもらえない。


それは何より辛い。



昴はそれを一番理解している。

だからこそ、俺の告白に困っている。





おそらく俺はフられる。

だけど、昴は俺を傷つけずにフろうとするだろう。







ひどいよな。


だって、そうだろ?









最後に優しくフるなんて。









そんなもん、ますます好きになっちまう。






どうせなら、もっとひどくフってほしいね。


いつもみたいに、死ねとか。ハゲとか。


こんな時に限って、そんな言葉が出てこない。







「ねぇ、昴」


小さな声で呼ぶと、返事はないが少し俯いた(うつむいた)顔をあげた。





「もーいいや。さっきの告白取り下げる」


「!」


「でも、諦めたわけじゃねぇからな。絶対に振り向かせてみせる。それだけは覚えておけよ」





俺がハッキリ言い放つと、昴は……。
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