結婚してください。パンツ見せてください。
「違います、入れてません」
『媚薬持ってる時点でアウトなんだよ! 何で持ってるんだ! あれは本来、治療に使われるものだぞ!』
父親が医者だから、息子である進も医学的なことには詳しい。まさか媚薬の事まで知ってるとは思わなかったが。
「見てください、ほら。蓋(ふた)がまだ開いてません。使っていない証拠です」
焦っているのか、昴は懐から媚薬と思われる薬の瓶を取り出した。なんか生々しい。
『他には持ってないのか』
「はい」
『本当に?』
「はい」
『家には?』
「…………」
『ちょっと警察行こうか』
ん?待てよ?
昴の持ってるのは媚薬だ。
媚薬の効果は、言いづらいが、性欲を高めて性的に興奮させること。
下品になるが、俺の……ア、アレは今、元気なわけではない。俺自身も興奮してるわけでもない。
なら、これは。
「睡……眠薬、だ」
俺はできるかぎり大きな声で言った。
みんなには聞こえていなかったが、比較的近くにいた蓮華と有栖川が気づいた。
そして、有栖川が大声で進に伝える。
「進くん! 睡眠薬、睡眠薬だよ! 東藤さんが……!」
『! 悠吾、大丈夫か! 睡眠薬って、媚薬じゃないのか!』
進は即座に、俺達に駆け寄ろうとした。それに便乗して、俺達を囲んでいた観客も騒ぎ出して心配する空気になる。
しかし。
「来るんじゃねぇ加藤!!」