結婚してください。パンツ見せてください。
ガラリ、と。
勢いよくドアが開かれる。
そこには、進がいた。
「よ、二人とも。調子はいいか?」
小柄、言い方を変えればチビ。
そして栗色に近い、少し跳ねた茶髪。
トロンと、ちょっと垂れ下がった目。
どこから見ても、恐怖を感じない。
そのはずなんだ。
しかし、進の本当の姿は違う。
柔道に剣道、ボクシングや空手。
格闘技系の競技で、全国大会優勝。
現在はサッカーをやっているが、昔は格闘技を中心に体を鍛えていた。
しかも毒舌に性格のキツさ。
中身をみれば、見た目からは想像できないような奴なんだ。
「どうした? 怖がって。大丈夫か?」
進が心配そうに俺達を見て言う。
「あ、あぁ! 大丈夫だ、絶好調だ! ほら!」
俺は慌てて大丈夫なのを証明するように体を動かしてみせた。
その姿がマヌケに見えたのか、隣で蓮華が笑いを堪えている。こいつ絶対殺す。
とりあえず、今日のお泊りは無しだ。
進があの事を覚えていないうちに、逃げなければ。
俺達は必死に元気なのを装い(よそおい)、お泊りを取り消そうと考えた。
「だから今日は帰るよ。お前にばかり迷惑もかけられない。せっかく気遣ってくれたのに申し訳ないが……」
俺は帰るため、もっともらしい言い訳をする。バレやしないかすごく緊張した。
「いや、いいんだ。二人が元気なら」
よかった、納得してくれたみたいだ。
よし、なんとか助かった。
「元気なら、殴っても大丈夫だよな?」
「……」
「……」
「忘れてねーよ、表出ろ」