結婚してください。パンツ見せてください。
もう暗くなり始めた道路を、男三人で歩く。
俺と蓮華は、少し(?)ひどい事になっている。
頬は腫れ、赤紫に変色している。口の中は血の味がする。
そう、進にボコられた。
「仙崎の事も、蓮華の事も。勝手にすればいい。だけど、俺の彼女をお前らの変態パーティーに巻き込むのは許さねぇ」
俺達の返り血で赤く染まった拳を握られると、シャレにならない。
とにかく殴られて、数十分。やっと開放された俺達は、進の家に行くことになった。
「今度、紗綾を巻き込む場合は覚悟しろ。ぶっ殺してやるよ」
「はい、すいません」
「はい、すいません」
ほとんど同時に謝る。
まじ怖い。
それにしても、進はもはや人前での名字呼びをやめたようだ。以前は恥ずかしいから嫌がっていたのに。
有栖川とは勝負のあと少し揉めたらしいけど、仲直りしたんだな。
「……いいな」
俺は、寝てしまったから昴に会えなかった。
何も、言えなかった。
やっと好きだって気づいたのに。早く、伝えたかったのに。
俺が一人で落ち込んでいると、突然進が俺の前で立ち止まった。
「お前はここでストップ」
いきなりおかしな事を言われ、俺はちょっと戸惑った。
それを見て、進が説明した。
「今メール来た、奈々緒くんから。やっぱり迎えに行くってよ。お前は家に帰れ」
家、というか祖父母の家なんだがな。
「ここの近くにコンビニあるだろ?そこで待ってるらしいぞ」
そう言いながら、横の曲がり角を指差す。
俺は道を確認し、進に向かい合った。
「わかった。今日は本当にありがとう。世話になった。蓮華も」
俺が感謝の言葉を伝えると、蓮華は驚き、照れたようにそっぽ向いた。
「あ? 何気持ち悪い事言ってんの。自慢? ムカつく」
「はは、照れるなよ」
「うぜぇぇぇぇぇぇ!」
蓮華は顔を赤くし、走って行ってしまった。進はやれやれという感じで、その後を追いかける。
俺は二人を見送ってから、コンビニに向かった。