結婚してください。パンツ見せてください。
一人でほとんど何も考えずに歩いていた。
「……ん?」
だけど、ふと疑問が頭に浮かぶ。
そういえば、なぜ奈々緒は進にメールしたんだ?
何故、俺ではなく進にメールをした?
本来なら、兄である俺に直接メールするはずだ。
そんなことを考えていると、もうすぐコンビニに着こうとしていることに気がついた。
そして、それと同時に、先程の疑問に答えが出た。
「東藤さん」
昴だ。
進のやつ、やってくれたな。
なんて嬉しいドッキリなんだ。
淡い光を発するコンビニの前で、制服のまま立っている昴の姿。
俺を見つけると振り返り、短い髪が少し揺れる。その度に、銀髪が光りを反射して光っているように見えた。
つまり可愛いという意味だ。
「昴、こんな所で待っていたのか。もう暗いし、危ないだろ」
「申し訳ありません。しかし、下校時間を過ぎた学校には残れませんでしたので」
「明日会えるだろう。俺がいつ起きるかも分からなかったのに。いつからここにいた?」
「ずっとここにいたわけではありません。最初は学校の前です。ですが、加藤部長がここに行けと。蓮華もいますし」
蓮華という言葉で納得してしまった。
俺もわざわざ蓮華の前で昴と話すようなことはしたくない。そこまで嫌なやつじゃないし。
だから進は昴と俺をここで会わせたのか。
蓮華と引き離すために。
「このような時間に申し訳ありません。まだ薬も完全に抜けていないでしょう」
「いや大丈夫だ。お前に会いたいと思っていたし」
つい、本音がポロリとでる。
それから、ぐわぁと体温が上がり、慌てて言葉を繋げた。
「あ、や、ほら!なんか、その、なんとなく、そう思って!それだけだからな、深い意味はないんだ!いや、会いたくなかったわけじゃないぞ!」
必死になりすぎてだんだん恥ずかしくなってきた。やばい、死にたい。
昴はそんな俺を見て、「はい」と返事をする。
その落ち着いた態度に、俺も冷静を取り戻す。