結婚してください。パンツ見せてください。
……頭がボーッとする。
俺、どうしたんだ?
たしか、仙崎のお茶(と言う名の危険物)を飲んで……。
そうだ、眠ったんだ。
しかし、ここはどこだ?
学校ではないのか?
見たところ、公園みたいだが。
『っぐ、ひぐっ……』
ん?あれは……。
『うぁ〜……』
仙、崎?
小さい仙崎がいる。
「……仙崎、なのか?」
『……だれ?』
あれ?
なんだ?
俺も体が小さくなってる。
「……東藤、東藤悠吾。ここで何してるんだ?」
『家の前で家出』
「ずいぶん余裕な家出だな」
『とーどーさんは?』
「……俺も家出だ」
俺はこの頃、親の厳しさに我慢できなくなって、よく家出をしていた。
そうだ、この公園はその頃に身を隠すために使っていた場所だ。
『じゃあ、おそろいだね』
「あぁ」
前言撤回だ。
こんな可愛い生物、あんな変態なわけない。
『……とーどーさん』
「なんだ」
『とーどーさん、ぱんつすき?』
二回目の前言撤回。
こいつは仙崎だ。
「……なんでだ」
『お兄ちゃんがね、ぱんつはすごいものだって言うの。とーどーさんもぱんつすき?』
「好き、じゃない。いや、場合によっては……うん」
何が「うん」だ、俺。
いや、何が言いたいんだ。
『とーどーさん』
「なんだ」
『ぱぱとまま、いる?』
「……いる。けどいなくなった」
『どーして?』
「病気だ」
二人とも同じ病気に殺された。
俺は二人が死んだとき、ひどく二人を恨んだ。
「治るからね」と、「必ず帰るよ」と約束したのに。
『スバルのぱぱとままもいないよ』
「!」
『同じだねー』
どうして、と聞きたかったが。
無邪気に笑うそれを、悲しませてはいけないと。
口を閉じた。
『とーどーさん』
「……ん?」
『とーどーさん』
「なんだ」
『とーどーさんはスバルのことすきですか?』
「なっ、は!?」
『死んだぱぱはスバルがキライだったよ。お兄ちゃんもスバルがキライだよ』
「……」
『とーどーさんは?』
「俺は……おれは……」
答えはでなかった。