桜の木の下で~好きになってはいけない人~
美鈴と陽季は、産まれたときからほとんどの時間を一緒に過ごしてきた。美鈴の父と陽季の母が兄妹で、陽季も生まれてしばらくは、仁科家で育てられていた。

従兄弟よりか、兄弟に近かった。

「陽季くん、今日大丈夫かしら?」

「大丈夫だよ、美鈴ちゃん。また定例会議が始まる前に、迎えに行くよ。」

「ふふ、ありがとう。」

二人の周りは、尊敬の眼差ししか降り注がれていない。二人が並ぶのを見て、理想の恋人同士かのように、眺めていた。

そして二人が並ぶ姿は、『絵になる二人』と呼ばれている。

「美鈴ちゃん、今日はやっぱり新入生への挨拶関係?」

「挨拶だけとは限らないけど、そうよ。」

そう伝えてから美鈴は、自分のクラスへ戻っていった。
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