それは……、いま♥
仕方ない……
わたしは、大好きなアスパラ巻きを一つ摘んで蓋に乗せた。
そのまま、立って高橋の元まで歩いて行く。
「はい、タカハシ、そんなに見られちゃしょうがないから分けてあげる」
一瞬怯んだように見えたのは、多分わたしの気のせいだ。
あいつは「ご馳走様」と律儀に礼を言うと、アスパラ巻きを指で摘んで口に入れた。
「うん、美味い」
「でしょ」
あんまり美味しそうに高橋が食べるから、わたしも何だか嬉しくなった。
「でも、俺が食べたかったのはお前なんだけどな」
「へ?」
勘違いは恋の始まりっていうじゃない?
なんだかよくわからないけど……
それは……、いま♥
2012.09.03.
Fin