妖将棋 <十二神獣と朱眼狼>
先程遥を家に連れて帰ってきた男だ。
「玄武。バカも休み休みにしろ。六合からの伝言だ。『星が動き出した』とな……」
遥とじいさんはそれを聞いて顔をしかめた。
龍二はいきなり現れた男に怪訝な顔をみせる。
「誰だ? それに、玄武って…?」
初めて見る男に、そしてその男が発した言葉に理解に苦しんだ。
「わしが玄武ぢゃが?」
「は?」
自分で指差しながら自己紹介のように言うと、龍二はマヌケな面で目玉をひんむいてじいさんを見つめた。
「んで、あれが騰蛇」
指差す方に目をやり、開いた口が塞がらないほどに驚いている。
「とっ! 騰蛇って?! お前は『時の砂漠』に封印されてるはずじゃ?!」
「あんな老いぼれの言うことを真に受けるからだ。俺は主を救い、主だけを護る。あるのはそれだけだ」
鼻であしらいながら言うと、遥の前で片膝を立てて座り、顎に手を当てて首筋を覗いた。
「やはりな。どうりで時が早いと思った」
「どういうことじゃ?」
じいさんが怪訝な顔で首を捻る。