妖将棋 <十二神獣と朱眼狼>
本堂家最後の当主は、能力の高い女であるということを。
「えっと…つまり、どういうことだ?」
いきなりの展開についていけない龍二が、頭をこんがらがせながら質問すると、三人はいささか呆れたため息をついた。
「遥が女だということが、妖一族総てに知れ渡ってしまったということじゃ。確かにバレることは六合の星詠みでわかっていたことじゃが、こんなに早まってしまうとは…わしのミスじゃ…」
「遥を狙って、妖怪連中がこの街に集結してくる。お前の新たな役目は、遥をサポートするのではなく、鷹龍と共に遥をまもることだ」
ようやく理解できた龍二だが、遥は立ち上がって龍二の荷物をまとめ始めた。
「何やってんだよ?」
「お前の助けはいらない。俺にはお前より強い神獣達がついてんだ。それに、自分の身は、自分で守る」
龍二はそれを聞き、拳に力を込めて遥の腹を殴りつけた。
騰蛇のいる場所まで殴り飛ばされ、騰蛇は殺気を放つ。
「貴様!」
騰蛇の周りの空気がゆらりと熱を帯びる。