妖将棋 <十二神獣と朱眼狼>
戦略
慌ただしい夜が過ぎ、今朝も少し肌寒い朝がきた。
今年は寒気がまだ残るらしく、四月でも窓には露がおりている。
モゾモゾと自分の体温で温められている布団に潜り込みながら、暖かい何かを抱きしめた。
「ん~…白虎来たのか~? あったか~い…」
どうやら寒い時には、白虎のあのふわふわな毛で暖をとっているようだ。
スリッと頬を擦り寄せるが、いつもより肌触りが違う、いや違いすぎることに気づき、寝ぼけた目を擦りながら布団の外へ顔を出した。
「朝からけっこう大胆なんだな遥は」
額におはようのキスをされ、一気に目と頭を覚ました。
豆電球しか明かりのない中、隣で横になっていたのは龍二。
遥は驚きすぎて固まってしまい、目を見開いたまま龍二を見上げた。
「お前の朝って早いのな。ん? おでこじゃ不満か?」
ぴきっ!
「すっ! 朱雀ね~さあ~ん!!」
また昨夜と同様、神獣の朱雀を喚び出し、朝っぱらからドたわけものの龍二を吹っ飛ばした。
龍二は向かいの自分の部屋まで飛ばされ、ブスブスと服を焦がされて横たわっていた。