妖将棋 <十二神獣と朱眼狼>

 人間はどの生き物よりも強者であるという、愚かな慢心の心があるせいですべては変わってしまった。

 追い詰め、絶滅への道を歩まされ、人間社会に適応していくほか道はなかった。

 力ある高等妖怪は人間に化けて生活を送り、力無き者はひっそりと暮らして皆の帰りを待つという、ほぼ現代の人間と同じ暮らしをしているという。

 自然界で生きる者と、人間界で生きる者との隔たりが生まれないよう、調律して二つの世界は生きていた。

 だがその中でも、抗戦的な妖狼一族は考え方が違っていた。


 人間は妖怪の餌だと。



 いつか時を見て復讐しようと目論んでいる最中、知識なき人間が朱眼狼を蘇らせてくれた。

 この期を逃しはしないと、妖狼一族は躍起になっている。

 妖一族が束になってかかっても、それを抹殺することは不可能。

「だから僕が先頭に立って、人間社会で最高の力を持つ、君を見つけた」

「俺捜し出して、一体どうする気だ?」

 睨みつけると、維鳴は遥の前に移動する。

 
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