妖将棋 <十二神獣と朱眼狼>
「僕に、力を貸しては貰えないだろうか!」
「なっ!?」
「狩る側狩られる側だというのは重々承知の上での決断なんだ!」
必死の叫びに遥は戸惑った。
あの清明ですら手こずった相手を、龍二と二人で神獣を操りながら倒せるのかと、あの話を聞いた瞬間思っていたことだった。
「返事は今すぐじゃなくても構わない。でも時間がないことだけは知っていてくれ! 時間が経ちすぎてしまえば、その分相手サイドの力が増すだけだから」
遥は息を飲んだ。
「わかった。明日は土曜日、朝家に来てくれ。今の手持ちの神獣を呼び出しておくから」
「ありがとう! 朝お邪魔しにいくよ!」
色良い返事と解釈し、維鳴は炎を纏ってその場から消え失せた。
生暖かいような、冷たいような風が頬を撫でる。
ここから先、遥に待っているのは、生か死か…。