妖将棋 <十二神獣と朱眼狼>
「久々だな、遥」
「久しぶり白虎! いつもありがとな」
透明な空気が色をつけるように、遥の足元からは白銀に輝く巨大な虎が現れた。
遥が頭を撫でてやると、グルグルと喉を鳴らす。
「蒼龍達は?」
「もう天空伯父の屋敷に集まってるぞ」
「なんかいつも俺が呼び出してんのに、遅刻ばっかだな。また蒼龍に怒られる」
ほろほろとベソをかきながら言うと、白虎は更に風を身に纏って屋敷まで翔けて行った。
広大な森林地帯を抜け、滝を下るようにいくと、巨大な御殿のような屋敷が見えてくる。
赤や金で装飾された、まるでどこかの国の御殿のようだ。
その広場に降り立ち、入口をみれば、そこには金魚のようなヒラヒラの羽衣を纏い、腰まで伸びた髪の長い20代後半の女性が立っていた。
「勾陳!」
名を呼びながら笑顔で走り出した。
「本体と会うの、何年ぶりかな?」
「遥さんがまだ小さかった頃ですから、10年ぶりでしょうか?」
結構会っていなかったんだなとびっくりし、遥は謝った。
「いいんですよ。私は、あなたの側にいますもの」