妖将棋 <十二神獣と朱眼狼>
頭を撫でられ、遥は少し照れた。
「あ~ん遥~っ! 早く入んなさいよ~!」
豊満な胸で真横から飛びつかれ、遥は耐え切れずに倒れてしまった。
「も~! なかなか来ないから迎えに来てあげたわよ!」
真っ赤な髪をポニーテールにした、気が強そうな30代くらいの女性。
遥に馬乗りしながら文句を言い、頭を押さえながら苦笑い。
「す、朱雀ねーさん。相変わらず体当たり好きだな…いてて」
「遅いあんたが悪いのよ! 早く早く!」
倒れている遥を引っ張り上げ、入口まで引っ張られていく。
「び、白虎~! おいで~」
「にゃいさ~!」
銀髪金眼の、五才くらいの小さな男の子がそのあとをてけてけと追いかけ、そんな姿を見ながらクスクスと笑う勾陳が後を追った。
巨大な両扉を、朱雀がバンッと蹴り開けて遥を放り込んだ。
「うわわ~っ!」
だだっ広い部屋の中で急にじいさんが、もとい、玄武がとてつもなく奇妙な笑顔で、両手を広げて迎えていた。
「何やってんだじいさん!」