妖将棋 <十二神獣と朱眼狼>
夜の月に従う者
次の日の朝。
緋音の部屋のドアがノックされる。
「はいは~い。誰~?」
ベッドで横になり、雑誌を読みながら返事する。
「お姉ちゃん、あたし」
カチャっとドアを開けると、そこにいたのはテディベアを片手に持つ小学三年の妹。
「マナ? 珍しいね、どうしたの?」
テディベアのポケットから一枚のカードを取り出し、緋音はビクついた。
「崩壊の…塔」
「遥さんに伝えて。二つの月の使者がやってきてるから、気をつけてって…」
その言葉に冷や汗を流し、緋音はカードを手に取った。
本堂家の朝はというと…。
「滅却煉火っ!」
朱雀の業火に、龍二が焼け焦げていた。
またも飽きもせず龍二が遥のベッドに潜り込んだようで、遥は荒い息を上げていた。
「いい加減にしやがれっ! 自分の部屋があんだからそこで寝ろっ!」
「アチチッ。だって一人じゃ寒ぃ~し、遥だって寂しいだろ?」
ポンポンと焦げた服を払いながら言うと、今度は掌にパリパリと雷を生み出す。