妖将棋 <十二神獣と朱眼狼>
「俺の遥になにしてんだ!」
猫でも取り上げるかのように、遥を奪い取ると、眼鏡を整え直しながら龍二を見下ろした。
「君は遥さんの、何かな?」
「俺はこいつの男だ」
「誤解招くような言い方すんな! 誰も認めてねえっ!」
二人の会話に割って入るように叫ぶと、維鳴は腕を組みながら、ふぅん、っとまた見下ろした。
「では君が西瀏山からやって来たという陰陽師か」
二人は驚いて目を見開いた。
「君達のことは、八咫烏一族から飛んできた情報で知っているんだよ?」
「こっちのことは筒抜けということですか? 妖狐一族の長よ」
遥の部屋から現れたのは六合。
維鳴はいきなり現れた見知らぬ男に一瞬驚いたが、目を潜めて見定めると、目を閉じた。
「なるほど。貴方がかの有名な神獣ですか。なかなか、未知なる力をお持ちだ」
六合はそれを聞いて感嘆の声をあげた。
「さすがは妖狐の長だけのことはありますね。そこの木偶とは大違いだ」