妖将棋 <十二神獣と朱眼狼>
そこの木偶とは俺の事かと龍二は自分を指差した。
何かを言い返そうかと勢いをつけたが、維鳴の言葉によって遮られた。
「それに関しては否定はしませんが、お話の方は通っていますか?」
龍二にはさっぱり訳の分からない内容だったためか、また頭の周りにハテナマークをちりばめていた。
「はい。主である遥様より聞いています。何やらそちら側の御家騒動に力を貸して欲しいようで。いささかこちら側が不利ではないかと?」
「お互いが不利なのですから、イーブンだと思うのですが…。まあいいでしょう。ここで落ち着いた話はできませんから、遥さん案内してもらえるかな?」
二人の見えない圧力に、遥は頷くほかなかった。
そして龍二が一番の置いてけぼりになっているのは言うまでもない。