妖将棋 <十二神獣と朱眼狼>
下に行くと、居間の方には神獣達が座って待ちくたびれていた。
「いつ来たの皆…?」
目を点にしながら言うと、蒼龍がまた眉間にシワを寄せて睨みつけてきた。
威圧感を感じ、維鳴と龍二は息を飲んだ。
「遅いぞ遥」
「ごめん蒼龍。とりあえず皆座れよ」
二人はおずおずと座り、遥も周りを見ながら座った。
龍二はなぜこんな状況になっているのかさっぱり分からず、事の説明を受けると、やはり昨夜の蒼龍達と同様、ちゃぶ台を叩きながら反論してきた。
「冗談にもほどがあるぞ! 敵同士がタッグ組んでどうする気だ!」
遥は六合が用意してくれたお茶を一口飲み、小さく息を吐きながら答えた。
「龍二、本気で俺達2人だけで倒せれる相手だとでも思ってるのか?」
真剣な目で言われ、龍二はたじろった。
遥の言いたいことは分かっている。
いくら霊力が高くても、神獣を従えていても、その能力そのものを使いこなさない限りは完璧とは言えない。
二人の能力はまだまだ未熟。
龍二は自分の力の無さに嫌悪感を覚えた。
「でもよ、それなら妖一族がまとめて束になってやったほうがいいんじゃねえのか?」
最もな意見だが、それに関しては維鳴が困った用に言った。
「妖一族は、もう昔ほどの力を持った子供が産まれてはいないんだ。人間社会が進出してきてからというもの、僕のような力は珍しいんだよ」
陰陽師の力も同じようなものだった。
科学が進み、すべてはプラズマ現象だと言われ続けていて、継承していこうとも、能力の乏しいものばかりしか産まれない。
お互いの現状はほぼ等しいものだった。
「水を刺すようで失礼しますが、妖狐の長よ。この話はそちらサイドには了承を得ているのですか?」
勾陳が頬に手を当てながら問うと、これもまた眉を落とすような表情を見せた。
「あなた方と同じ考えでした。力ある一族たちを集めて話し合いましたが、なかなかうまくはいきませんでした。これは失態を犯した妖狐の責任として、話が終わったのです」
失態と聞いて、龍二は苦い顔になった。
お互いの失態が招いたこと。
言い返すことなど出来ない。