妖将棋 <十二神獣と朱眼狼>
そんな龍二を横目に、遥は苦笑するしかなかった。
スッと維鳴が立ち上がると、そのまま遥のもとへと歩き出した。
神獣達は警戒したが、遥がそれを心の中で止めた。
維鳴は遥の隣に跪いてその手を取り、優しく微笑んだ。
「さすがは僕が見初めた人だ。交渉の仕方が鮮やか極まりないね? では、君が総ての神獣を手に入れるための期間はいつごろになるのだろうか?」
「人間社会で人一人がいなくなるのは昔と違って大問題になる。だから怪しまれない夏休みを狙ってやろうと思ってる。六合の星読みで、その期間までなら大丈夫だっていってたからな」
六合に視線を送ると、六合は手を合わせて頷いた。
それを見た維鳴はフッと笑みを見せ、立ち上がってベストを羽織りだした。
「君がそこまで考えてでの決断なら、僕は従おう。このことはほかの妖一族には内緒にしておくよ。その方が、何かと都合がよさそうだからね?」
そう言い残すと、玄関に向かった。
遥はその後に着いて行き、少し二人で話した。
「お前がすんなり言う事を聞くとは思ってなかった」
「僕は平和主義者でね? 無駄な争いは何も生まないことは歴史で証明されている。だから君に従う。ただそれだけだよ?」
優しく微笑むと、遥はクスッと笑った。