妖将棋 <十二神獣と朱眼狼>
季節外れの転校生
あの妖狐との話し合いから早二週間。
いつものように学校に通い、授業を受け、時に妖が出てきては駒に封印していく。
まるであの朱眼狼が甦っているなんて微塵にも感じないような、遥にとってのいつもの日常。
「なんか、どっか痒いな…」
バスケの体育でダンクを決めながらつぶやくと、急に目の前が真っ暗になった。
(え?)
いちかけにかけてさんかけて
しかけてごかけて はしをかけ
きれいないしをならべては
くろいとりいのそのおくに
じゅうひち・はちの ねえさんが
はなとせんこう てにもって
もしもしねえさんどこいくの?
またあの時聞いた手毬歌が聞こえてくる。
目を開ければ、そこは保健室の天井だった。
「あれ?」
隣を見てみれば、心配そうに顔を覗き込んでいる緋音がいた。
「急に倒れるんだもん、霊力落ちてるよ? 最近混詰めて封印してない?」