妖将棋 <十二神獣と朱眼狼>



 変に思った龍二が部屋に入ると、布団にくるまった遥がベッドにいた。

「やっぱ俺がそばで寝てねえと起きれないんじゃねえかよ?」

 布団をめくると、酒の匂いが鼻をついた。

「酒くせっ?! お前酒飲んだのかよ?」

「あ…ん。でかい声出すな…。頭いてえ…」

 弱弱しい声に、龍二は心配になった。

「酒なんか飲んでねえのに、う~…。水くれ…」

 龍二は言われるがまま水を取りに行き、遥を起こしてやった。

 龍二に体を支えられながら水を飲むと、一息の息を吐いた。

「さんきゅ。助かった」

 小さく笑顔を見せると、龍二は少し顔を染めた。

「そ、それくらいなら、俺だってできるさ。でも何で二日酔いになってんだ?」

 龍二の問いに、遥は首を傾げながらハテナマークを浮かべた。

「朱雀ねーさんとこ行ったわけでもねえし、ずっと寝てたっつの…」

 ぼんやりとした目で見上げられ、龍二はまた頬を染めてそっぽ向いた。

「ど、どーすんだよ学校」

「とりあえず行くさ。着替えるからどいてくれ」

 ヨタヨタと歩く遥を、ほんとに大丈夫かという目で見つめながら部屋から出ていった。



 

 

< 67 / 83 >

この作品をシェア

pagetop