★時の架け橋★ ー誠の背中に恋をした。



新見切腹があった次の日、





相手の表情もよく分からない程の微かな灯火しか無い日の出前の早朝、俺は美鈴をこの腕で抱き留めながら伝えた。









新見が切腹をした事を。





新見切腹が壬生浪士組にとって必要だったと思うって事も話した。






美鈴にとって、新見は唯一の相談相手だった事も知っている。







新見が美鈴の心を少しでも軽くしているという事も、知っている。








美鈴は悲しむに決まってんだろうな…








そう思ってた。






俺にもう二度と、その可憐な笑顔で笑いかけてくれないんじゃねぇか…とも半ば諦めていた。





なのに、





美鈴「土方さん?どうかしましたか?ぼーっとして。」






何でおめぇは今でも俺に笑いかけてくれるんだろうな。





幹部の皆が次々に席を立っている中、土方だけはじっと美鈴を見つめる。





その視線に美鈴は気づいて、膳を片付けている手を止めてニコッと微笑んだ。








そんな笑顔に、自分の口角も自然と上がってしまう。








そして何でもねぇよ…そう優しく呟いた。








……………自分の惚れた女の笑顔が、ここまで自分の心を救ってくれるとは…と正直呆れる。





お前がまだ俺に微笑んでくれるなら、





どうか明日の俺にも笑いかけてくれ。
< 444 / 447 >

この作品をシェア

pagetop