★時の架け橋★ ー誠の背中に恋をした。
土方「おめぇらなにしてんだ。あ″ぁ?」






男達の暑苦しい雄叫びと、夏のバテるような熱気を追い出すかの様に開放的に開け放たれた襖から見える颯爽とした庭を背景に、柱にもたれ掛かる。







眉間に皺を寄せ、青筋を額に浮かび上がらせて目の前のはしゃいでいる二人に唸る様な低い声で問いた。







永倉「へ?」






平助「どしたんだ?」






襖の方に背中を向けて竹刀を振り回していた永倉と平助は庭の方に目を向けている隊士達が青ざめた顔をした事に疑問を持つ。







そして、隊士達が庭を見ているのでは無い事に気が付く。






隊士達の目が丁度永倉と平助の真後ろ一点に集中しているからだ。







何と無く嫌ぁ~な雰囲気がして二人は目を伏せて後ろをゆっくりと振り向く。







きっと心の奥では分かっているんだろう。








後ろを振り向くと……







そこに恐ろしく凶暴な鬼がいる事を。







永倉・平助「「ひぃっ」」






声にもならない消え入る様なか細い声で悲鳴を一斉に口にして、身を縮ませる。







予想的中。






途端、二人の顔は真っ青に染められた。







土方「何してるんだ。んん?」






伏せた目を徐々に少しずつ上にずらしてみれば姿が目に映され、









藍色の着物を着た土方歳三という鬼の姿が異様に造られた笑顔をしていました。
< 446 / 447 >

この作品をシェア

pagetop