夢が咲く場所
二章-オーディション-
「なぁ奈夢、どうしてお前女優になろうと思ったんだ?」
友哉が帰り道に私に言った。
「女優さんって憧れるじゃない?やっぱりテレビの向こうで光り輝いてる女優さんが私には天使のように見えたの。だから売れるとか売れないとかは関係ない。とにかく自分がなりたいことに向かって頑張りたいの。」
「そっか。」
「うん。」
私と友哉はそんなさり気ない会話をしながら毎日一緒に帰っていた。
そして私は家に帰るといつものように個人的にレッスンをはじめる。
泣いたり、笑ったり、表情を作ることからいつもしている。
これがなかなか難しい。いつもこのときに作った顔になってしまう。
もっとこう、自然的にはならないのかといつも携帯片手に検索しながら取り組んでいる。
これができないと女優なんかにはまずなれない。
そして次に発生練習。
演技の際には滑舌良く、しっかりとはっきり言わなければならない。
早口言葉を何回も口にする。
「東京特許許可局!」「隣の客はよく柿食う客だ!」
など、慣れたもんだった。
そして最後は演技。女優になりきっていつもアドリブで物語を作っている。
今日は学園物の恋愛のシーンをやろう!
私は制服に着替え、ヒロインを気取っている。
そしてなりきって熱が入り、また自分の世界に入り込んでいる。
そして鏡に向かって、キスシーン。
ドキドキを抑えながらの自分のキス顔を見ながら、少しずつ近づく。
すると、ガチャ。
部屋のドアを開いた。
そこには友哉が立っていたが、目が点になっていた。